
2012年07月21日
【まとめ】作家紹介1〜10
今までの作家紹介を10人ごとにまとめてみました!
日本のアール・ブリュット作家を知る機会としてぜひご覧ください

澤田 真一 Shinichi Sawada(1977年生まれ 滋賀県在住)
本展のチラシにどーんと載っている(ブログでもひときわ存在感を放つ)とげとげの作品をつくっている澤田さん。
澤田さんは少女のようにしなやかな細長い指で、一つひとつの小さなトゲをゆっくりと植え付けてゆく。時おり本当に嬉しそうにひとりでにっこりしては、また黙々と制作する。
多くの人を魅了するこの不思議な造形は、何かイメージを追っているのか、それともその場での直感的な思いつきなのか不明でだそうで、
しかし既に完成形が見えているのかと思うくらいに、何の迷いもなく制作は淡々とすすんでいくそうです。
大きな作品も4~5日で仕上げ、釜での焼成は施設スタッフが行い、自然や偶然の炎によって赤茶色の濃淡が色付けされていきます。
澤田さんの作品は2階展示室にどーんと並んでいます。ひとつひとつの作品とにらめっこして、トゲトゲしているのになんともいえないユーモラスな愛らしさがある澤田さんの作品を、ぜひ生でみてください


藤岡 祐機 Yuki Fujioka(1993年生まれ 熊本県在住)
広告や展覧会のチラシなどの紙を使い、1㎜にも満たない間隔で鯨のヒゲのように紙を切っていく。
紙を切る細さにも驚かされるが、彼は加えてハサミに角度をつけ、紙にスパイラル上のクルクルとした動きがでるように切っているのである。スパイラル上に切れた紙は、表面と裏面とが双方に絡み合い、より立体的に躍動感が生まれている。
とにかく細かく正確!ハサミも特別なものではなく普通の300円のハサミらしいです。

細かいので皆さんかなり顔を近づけて見ています!

江中 裕子 Yuko Enaka(1960年生まれ 埼玉県在住)
江中さんは「コラージュ」という技法を用い、100号大からしおりサイズまで、大小さまざまな作品を病院(造形教室)で創り続けています。はたよしこさんのギャラリートークでアール・ブリュットの作家は画面を埋め尽くすことに集中し充実感を感じているのではないか、病の中自分を救うために生み出した方法ではないかと語られていました。
江中さんの作品はまさにその事を思い出すほど画面がコラージュ素材で埋め尽くされています。
一つの作品制作には、小さいもので1時間程度、大きいもので約半年かけ制作しています。雑誌やポスターなどを素手でちぎり制作しています。
※コラージュ…写真・印刷物などを切り貼りすること。

山崎 健一 Kenichi Yamazaki(1944年生まれ 新潟県在住)
山崎さんは入院している病院で、毎日規則正しいペースで絵を描いています。その絵はすべて方眼紙に描かれ、図面のようにも見えます。
彼は、ケース入りの専門家用の製図道具を持っており、それを使用して描いています。実はこの絵紙の裏面には規則正しく並んだ無数の穴がレースのように開いているのです。展示作品の中に一部下から光を当てたものが展示されてます!

山崎さんは労働に従事ている際に発病し、今年でもう30数年の病院暮らしです。
作品は一時的に働いていた土木関係の設計図のようであり、彼の経験と夢が包含されている。作品を作ることによってなんとか自分を再構築しようとしているのではないか。彼は、もう何年もこの図面の世界の中で生きています。3,000枚近い作品が、丁寧に一枚一枚、彼自身のファイルに整理されています。

佐藤 朱美 Akemi Sato(1981年生まれ 北海道在住)
彼女の作品の中にひしめく形とポップな色彩との調和は、特有のルールを踏みながら生み出されています。
画材は主にアクリル絵の具や水性ペンを使用し、絵の大枠を象(かたど)るモチーフは、図鑑などから自由に選んでいます。
近くで見ると見たことのあるような動物なんだけどどこかおかしく、愛くるしい生き物が見る人を夢中にさせます。絵の中に現れ出る不思議な形と混じりっけのない刺激的な配色は、彼女いわく「頭の中に見えてくる啓示に従い、描いている。」とのことです。色が「見えてこない」時は、見えるまでじっと待つのだそうです。
※啓示(けいじ)…神が人に教えを示す。天の啓示。

M・K(1978年生まれ 滋賀県在住)
彼は雑誌の写真を眺めながら、気に入ったモチーフを探し出して描きますが、それらがユニークにデフォルメされた形となって表わされています。おそるおそるの迷いながらの頼りない線描とは対照的なほどの大胆な形。その自然体によるミスマッチな二つの要素が彼の描画の魅力です。
色は自分の自由なイメージでどんどんカラフルに着彩していき、この紹介の絵では無いのですが、絵の横に雑誌から写しとった文字を描くことは完成した気持ちになるために彼には必要なことらしいのです。モチーフにした写真のページとは関係なく彼が気になった単語や外国語で記載された広告のキャッチコピーなどを選んで書いている。まるで何か映画のポスターのような印象を受けました!

木村 茜 Akane Kimura(1983年生まれ 滋賀県在住)
彼女の描画はダンスのようでもある。
描画する腕の動きはまるで「振りつけられたダンス」のように、じょじょに見事なスタイルとなって定着してきた。
また、紙と画材がこすれあう音も彼女にとっては重要で、「振り」と「音」は一体となって彼女の身体感覚の中にあるようだ。
一枚の絵は約2~3分で一気に描き上げ、流れるリズムの快感を彼女は必死でキープしている。
絵のタイトルは、彼女のつぶやく言葉によって決められてゆく。

伊藤 賢士 Ito Kenshi(1969年生まれ 東京都在住)
彼の絵の描き方は、実に不思議だ。
大胆きわまりないエキセントリックで魅力にあふれるヌードを描いているのだが、実は淡々とそっけなく、まるでお仕事のように描いていく。
ほとんど一筆描きに近いスタイルで迷うことなく、すいすいと描いていく。
彼は、網膜に映ったカタチを、彼なりの誠実さでただ描写しているだけなのだろう。
確かに彼は、裸婦を描いても動植物を描いても同じ感度で、彼の針は常にニュートラルを指しているようだ。
※エキセントリック…風変わりなさま。

酒井 清 Kiyoshi Sakai(1948年生まれ 滋賀県在住)
彼の作る作品は、口がぱかーっと開いており、そこから舌がにょんと飛び出ている。
彼は人間を模した「人形」を作っていると言う。
面白いのは、彼が作品作りにあまり真剣でないことだ。彼は何を作っても面白いものができると思っている。それは作品を作るうえで更なる高みを求めておらず、ただただ「作っている」に過ぎないのだ。作品制作に対する淡々とした素っ気なさ。そこから生まれる、豊かな表情をした人形群。彼はとにかくユーモラスで優しくて、女好きで、話し好きなおじさんだ。
地面に落ちている枝を、木に絆創膏で貼り付けるというようなことをしたりする。折れた枝が絆創膏でくっつくと彼が本気で思っているのかどうかは分からないが、ただ、彼の優しさがそこに在る。

小幡 正雄 Masao Obata (1943-2010年 兵庫県出身)
彼は60歳から、彼の暮らす知的障害者施設の給食調理室から拾って来た段ボールを集めては、夜な夜な絵を描いて部屋に貯め込んでいました。モチーフの多くは、彼の人生には全く無縁であった結婚式や家族の絵が多く、大半の人間像には性器が丹念に描かれているが、彼にとって男女は人間の重要な要素らしい。また作品は赤で統一されており、小幡さんにとって赤は幸せの象徴の色で、小林さんの話によると、小幡さん自身も真っ赤な格好をしているそうです
また、作品の角が丸いのは作品を保存する際に角があると折れ曲がっていしまう為。いずれも彼の作り出した独特のスタイルで表現され、何かを見て描くということは全くないそうです。
大掃除のたびに大量の絵は破棄されていたが、地元の画家によって発見されて以来、多くの展覧会が開かれるようになりました。NPO法人によって作品は保管されています。
日本のアール・ブリュット作家を知る機会としてぜひご覧ください

作家紹介(1)澤田 真一

澤田 真一 Shinichi Sawada(1977年生まれ 滋賀県在住)
本展のチラシにどーんと載っている(ブログでもひときわ存在感を放つ)とげとげの作品をつくっている澤田さん。
澤田さんは少女のようにしなやかな細長い指で、一つひとつの小さなトゲをゆっくりと植え付けてゆく。時おり本当に嬉しそうにひとりでにっこりしては、また黙々と制作する。
多くの人を魅了するこの不思議な造形は、何かイメージを追っているのか、それともその場での直感的な思いつきなのか不明でだそうで、
しかし既に完成形が見えているのかと思うくらいに、何の迷いもなく制作は淡々とすすんでいくそうです。
大きな作品も4~5日で仕上げ、釜での焼成は施設スタッフが行い、自然や偶然の炎によって赤茶色の濃淡が色付けされていきます。
澤田さんの作品は2階展示室にどーんと並んでいます。ひとつひとつの作品とにらめっこして、トゲトゲしているのになんともいえないユーモラスな愛らしさがある澤田さんの作品を、ぜひ生でみてください

作家紹介(2)藤岡 祐機


写真が悪くてすみません!チラシの破片を切っています!
藤岡 祐機 Yuki Fujioka(1993年生まれ 熊本県在住)
広告や展覧会のチラシなどの紙を使い、1㎜にも満たない間隔で鯨のヒゲのように紙を切っていく。
紙を切る細さにも驚かされるが、彼は加えてハサミに角度をつけ、紙にスパイラル上のクルクルとした動きがでるように切っているのである。スパイラル上に切れた紙は、表面と裏面とが双方に絡み合い、より立体的に躍動感が生まれている。
とにかく細かく正確!ハサミも特別なものではなく普通の300円のハサミらしいです。

作家紹介(3)江中 裕子

江中 裕子 Yuko Enaka(1960年生まれ 埼玉県在住)
江中さんは「コラージュ」という技法を用い、100号大からしおりサイズまで、大小さまざまな作品を病院(造形教室)で創り続けています。はたよしこさんのギャラリートークでアール・ブリュットの作家は画面を埋め尽くすことに集中し充実感を感じているのではないか、病の中自分を救うために生み出した方法ではないかと語られていました。
江中さんの作品はまさにその事を思い出すほど画面がコラージュ素材で埋め尽くされています。
一つの作品制作には、小さいもので1時間程度、大きいもので約半年かけ制作しています。雑誌やポスターなどを素手でちぎり制作しています。
※コラージュ…写真・印刷物などを切り貼りすること。
作家紹介(4)山崎 健一

山崎 健一 Kenichi Yamazaki(1944年生まれ 新潟県在住)
山崎さんは入院している病院で、毎日規則正しいペースで絵を描いています。その絵はすべて方眼紙に描かれ、図面のようにも見えます。
彼は、ケース入りの専門家用の製図道具を持っており、それを使用して描いています。実はこの絵紙の裏面には規則正しく並んだ無数の穴がレースのように開いているのです。展示作品の中に一部下から光を当てたものが展示されてます!

この細かさにはうっとりしてしまいます。
山崎さんは労働に従事ている際に発病し、今年でもう30数年の病院暮らしです。
作品は一時的に働いていた土木関係の設計図のようであり、彼の経験と夢が包含されている。作品を作ることによってなんとか自分を再構築しようとしているのではないか。彼は、もう何年もこの図面の世界の中で生きています。3,000枚近い作品が、丁寧に一枚一枚、彼自身のファイルに整理されています。
作家紹介(5)佐藤 朱美

作品名:皆を背負って(2007年)
佐藤 朱美 Akemi Sato(1981年生まれ 北海道在住)
彼女の作品の中にひしめく形とポップな色彩との調和は、特有のルールを踏みながら生み出されています。
画材は主にアクリル絵の具や水性ペンを使用し、絵の大枠を象(かたど)るモチーフは、図鑑などから自由に選んでいます。

※啓示(けいじ)…神が人に教えを示す。天の啓示。
作家紹介(6)M・K

作品名:無題(制作年不詳)
M・K(1978年生まれ 滋賀県在住)
彼は雑誌の写真を眺めながら、気に入ったモチーフを探し出して描きますが、それらがユニークにデフォルメされた形となって表わされています。おそるおそるの迷いながらの頼りない線描とは対照的なほどの大胆な形。その自然体によるミスマッチな二つの要素が彼の描画の魅力です。
色は自分の自由なイメージでどんどんカラフルに着彩していき、この紹介の絵では無いのですが、絵の横に雑誌から写しとった文字を描くことは完成した気持ちになるために彼には必要なことらしいのです。モチーフにした写真のページとは関係なく彼が気になった単語や外国語で記載された広告のキャッチコピーなどを選んで書いている。まるで何か映画のポスターのような印象を受けました!
作家紹介(7)木村 茜

作品名:風船(上2010年制作、下2011年制作)
木村 茜 Akane Kimura(1983年生まれ 滋賀県在住)
彼女の描画はダンスのようでもある。
描画する腕の動きはまるで「振りつけられたダンス」のように、じょじょに見事なスタイルとなって定着してきた。
また、紙と画材がこすれあう音も彼女にとっては重要で、「振り」と「音」は一体となって彼女の身体感覚の中にあるようだ。
一枚の絵は約2~3分で一気に描き上げ、流れるリズムの快感を彼女は必死でキープしている。
絵のタイトルは、彼女のつぶやく言葉によって決められてゆく。
作家紹介(8)伊藤 賢士

女の人(2001年制作)
伊藤 賢士 Ito Kenshi(1969年生まれ 東京都在住)
彼の絵の描き方は、実に不思議だ。
大胆きわまりないエキセントリックで魅力にあふれるヌードを描いているのだが、実は淡々とそっけなく、まるでお仕事のように描いていく。
ほとんど一筆描きに近いスタイルで迷うことなく、すいすいと描いていく。
彼は、網膜に映ったカタチを、彼なりの誠実さでただ描写しているだけなのだろう。
確かに彼は、裸婦を描いても動植物を描いても同じ感度で、彼の針は常にニュートラルを指しているようだ。
※エキセントリック…風変わりなさま。
作家紹介(9)酒井 清

酒井 清 Kiyoshi Sakai(1948年生まれ 滋賀県在住)
彼の作る作品は、口がぱかーっと開いており、そこから舌がにょんと飛び出ている。
彼は人間を模した「人形」を作っていると言う。
面白いのは、彼が作品作りにあまり真剣でないことだ。彼は何を作っても面白いものができると思っている。それは作品を作るうえで更なる高みを求めておらず、ただただ「作っている」に過ぎないのだ。作品制作に対する淡々とした素っ気なさ。そこから生まれる、豊かな表情をした人形群。彼はとにかくユーモラスで優しくて、女好きで、話し好きなおじさんだ。
地面に落ちている枝を、木に絆創膏で貼り付けるというようなことをしたりする。折れた枝が絆創膏でくっつくと彼が本気で思っているのかどうかは分からないが、ただ、彼の優しさがそこに在る。
作家紹介(10)小幡 正雄

本展では壁いっぱいに作品が展示されています!
小幡 正雄 Masao Obata (1943-2010年 兵庫県出身)
彼は60歳から、彼の暮らす知的障害者施設の給食調理室から拾って来た段ボールを集めては、夜な夜な絵を描いて部屋に貯め込んでいました。モチーフの多くは、彼の人生には全く無縁であった結婚式や家族の絵が多く、大半の人間像には性器が丹念に描かれているが、彼にとって男女は人間の重要な要素らしい。また作品は赤で統一されており、小幡さんにとって赤は幸せの象徴の色で、小林さんの話によると、小幡さん自身も真っ赤な格好をしているそうです

また、作品の角が丸いのは作品を保存する際に角があると折れ曲がっていしまう為。いずれも彼の作り出した独特のスタイルで表現され、何かを見て描くということは全くないそうです。
大掃除のたびに大量の絵は破棄されていたが、地元の画家によって発見されて以来、多くの展覧会が開かれるようになりました。NPO法人によって作品は保管されています。
Posted by ブリュット at 20:00